緒方町 2025 年 2 月 11 日（火・祝） 快晴
山里の石幢や宝篋印塔
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訪問地 豊後大野市緒方町 ： |
地蔵原石幢 栗生三宮祠 明王寺（宝篋印塔） |
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今季最強寒波の到来で、「不要不急の外出は避けてください。」などと、気象台や報道機関で注意を呼びかけている。氷点下となる冬日も続いていたが、冬型気圧配置もようやく峠を越えた。 雪の少なかった中部や南部なら行けそうだ。で、予てより計画していた緒方町の文化財を訪ねてみることにした。
先ずは県指定文化財の
地蔵原石幢 （豊後大野市緒方町大石）
国道５０２号線を行き、緒方から「奥豊後グリーンロード（広域農道）」に分岐する。快適な２車線道路は８ｋｍほどで県道７号線（緒方高千穂線）を横切り、さらに約４．２ｋｍ後、道はゆるやかな峠状となり、変則四差路と交差する。「ここは、左！」 それにしても、ずいぶん山奥までやってきたものだ。
左折して１００ｍほど行くとＹ字路があり、左側の斜面に「地蔵原石幢」の案内標柱が立っていた。「ここだ！」 斜面の上には石幢や説明板なども望める。
斜面の案内標柱
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位置図（クリック拡大）
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「よっしゃ、行ってみよう」期待しながら上がっていくと、台地状の小広場となっており、石幢以外にも、願主の石柱など数多くの石造物が散在していた。
石段の上に石碑
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石柱など
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主役の石幢の近くには、文化財の標柱や説明板があり、その概要は“大分県指定有形文化財：地蔵原石幢：本石幢は通称六地蔵塔と呼ばれている。建立は永正５年（1508）。笠部には垂木を彫り出し、龕部には地蔵尊６体と神王２体が彫刻されている。
地蔵原石幢
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説明板（クリック拡大）
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総高は２ｍ４６ｃｍに及び、精巧な彫刻で豪壮なものである。幢身の銘文は次のとおりである。以下、４面に刻まれている銘文は省略。：緒方町教育委員会”などとなっている。
県指定：地蔵原石幢
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龕部の地蔵尊（クリック拡大）
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幢身の記銘（クリック拡大）
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建立年については、幢身の東面に刻まれており“永正五天戌辰歳十一月吉日敬白”などとなっていた。５００数十年前のこと。往時は、寺院か庵などが在ったのだろうか。静かな山里の大きな石幢でした。
文化財未指定
栗生三社祠 （豊後大野市緒方町栗生）
「地蔵原石幢」を拝んだ後は往路を県道まで戻り、右折して県道を南に進む。約１．１ｋｍ後、左折して県道４１０号線（牧口徳田竹田線）を東に進む。そして約３００ｍ後、峠の三差路を右折していくと、「ん？」気になる看板（説明板）が立っていた。明王寺の直前左側に位置している。
三社祠登山道
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位置図（クリック拡大）
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その概要は“ここから左上１５ｍの台地に宇納間地蔵尊・祖母嶽大明神・天満社の三体を祀る祠がある。”などの書き出しに続き “一、宇納間地蔵尊：祠の中に２０ｃｍの石像が彫刻されている。火伏と地域の安全を護る地蔵さま。
二、祖母大明神：祠の庇には菊の花模様の彫刻があり、中には丸長の川石２個が祀ってある。 三、この地区の中ほどに天神屋敷があり、菅原道真公の木像を祀っていたが奥嶽川に捨てられたらしく、それを拾った村人が、この地に祠を建て天神様として祀るようになったと口伝が残されている。平成十年：栗生老人クラブ”となっていた。
市道沿いの説明板
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説明板（クリック拡大）
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フェンスの左端に目印テープがあり、参道の登り口だろう。いきなりの急坂登りから始まり、ザレ気味の荒れた坂道は見た目以上の難路となっている。 「ん？、もしかしてカモシカ？」 さすが山奥、上方から不気味な物音が聞こえてきた。
周囲の様子と足元を気にしながら「ヨイショ」で登りつめると「お～」 石祠が三基、整然と並んでいた。先の説明板をイメージしながら、それぞれの祠に手を合わせました。
山頂に祠が三基
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手前、一番左の祠に祀られているのは木像の菅原道真公で「天神さま」。側面に“昭和三年正月廿４日”の刻銘が読めます。
次の祠には、丸長の川石が２個祀られており、「祖母大明神」。庇には菊の花模様が刻まれていた。一番右には、地蔵さまが祀られており、説明板のように「宇納間地蔵尊」と云うことだろう。なぜか３０度ほど右向きになっていたが、過日の地震に所為だろうか。
天神さま、祖母大明神、宇納間地蔵尊（クリック拡大） |
このように、三体を祀る祠が三基、整然と並んでおり、天神様には昭和３年の銘もあったが、大正から昭和へ元号が変わった直後となり。今年は昭和１００年とも言われ、およそ１００年前のこと、そのころの日本はどうだったのだろうか、村人たちの信仰心と熱意が感じられます。
三体の神様に見送りされ、無事に降り着いて「ホッ」。 「お～、ワンダフル！」 眼前に展開されている山々は、祖母山系の山並みだろうか、前障子岳かもしれない。快晴の空に美しく映えていた。
前障子岳 |
市指定文化財のある
明王寺（宝篋印塔） （豊後大野市緒方町栗生）
雄大な祖母山系の山々を右に見ながら、市道を５０ｍほど行くと、左の道脇に案内標柱があり“市指定有形文化財：明王寺宝篋印塔”となっていた。参道は幅広く舗装されており、３０ｍほどで本殿に到着。「こんにちは～」 先ずはお参りしておこう。『東林山 真言宗 明王寺』の標札も懸かっていた。
案内標柱と参道
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明王寺
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本殿から左脇に回り込むと「あれだ！」と云う感じで、２基の宝篋印塔が視界に飛び込んでくる。 あたりに説明板はなかったが、豊後大野市の文化財に関する資料によると“明王寺境内に所在する宝篋印塔で、総高は約２ｍである。墨書の銘文があり、永享７年（1435）の造立である。他にも宝篋印塔１基や五輪塔などが点在している。”などとなっている。 一番手前には、小さな「不動明王」が祀られており、「大野川流域二十八ケ所不動霊場」 第２４番霊場となっているらしい。
不動明王と宝篋印塔（クリック拡大）
五輪塔と宝篋印塔２基
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そのほか境内には、小さな石祠や五輪塔など、多くの石造物が散在していました。「地神」と刻まれた石は明治十二年の銘も見られる。
五輪塔や
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地神など
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境内から南門に抜けると「お～」またまた大展望が広がっていた。先の「前障子岳」の左側、「大障子岳」や「祖母山」あたりだろう。すばらしい～。久しぶりの山姿にしばしの回想タイム。
祖母山系の山々
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明王寺南門
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市道を回り込んで行くと、コミュニティイバスの停留所があり「明王寺前」となっていた。上りは朝の１便、下りは夕方の２便だけの運行。明王寺以外に民家在るの？ すごい山奥のバス停です。 「板碑？」 バス停横の台地には、板碑が数本、無造作に立っていた。
コミュニティバス停（明王寺前）
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板碑が数本
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もしかしてここも「明王寺」の境内？ 市道が切り分けたのかもしれない。勝手な想像だが、その昔は、大きな寺院だったのかもしれない。 風は冷たいが、快晴の穏やかな陽射しに祖母山を仰ぎ、春の気配がいっぱいの明王寺でした。
今回の探訪は、緒方町の山奥、人里離れた山里に分け入り、貴重な石幢と宝篋印塔をありがたく拝んできました。その途中では、栗生の丘に登り、三つの祠に感動しながら手を合わせました。 春は、もうそこまで来ている気配です。季語では「春隣り」の緒方町でした。
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