杵築市山香町 2025 年 1 月 25 日（土） 晴れ
県指定の国東塔 や 日本最古の沈み橋 など
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訪問地 杵築市山香町 ： |
中畑国東塔 観音堂（小谷観音堂，薬師三尊像） 龍頭橋 |
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北に行くほど天気がよくなるとは、冬場にしては珍しい天気予報となっている。 よっしゃ、山香町の文化財を訪ねてみよう。 その町には日本最古の沈み橋もあるという。 国道１０号線を北上し赤松峠を越えてほどなく、「やまがまちへようこそ」
などと旧山香町境を示す歓迎標識などが掲げられている。
先ずは市指定文化財の
中畑国東塔 （杵築市山香町大字小武字中畑）
さらに約２．５ｋｍ後、「瀬口」交差点は右折し県道３１号線（山香国見線）に進む。約１ｋｍ後のＹ字路には「小武寺へ」の標識があり、半年ほど前に伺った「小武寺」などへの分岐点。 ここは左に見過ごし、さらに約１．３ｋｍ後の三差路に「中畑国東塔→７０ｍ先」の案内板が掲げられていた。「ここだ！」 その先は道幅も狭いので、ここから歩くことにした。
県道の案内板
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位置図（クリック拡大）
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風もなく、のどかな冬日和となっており、文化財探訪には絶好の雰囲気となっている。今畑川に架かる小さな橋を渡ると、前方には白い説明板も見えてきた。直前の左には民家があり、目的の「国東塔」は左側斜面の土手上に飛び出すように立っていた。「あっ、笠がない？」先ずは、説明板に目を通そう。
中畑国東塔
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説明板（クリック拡大）
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説明板の概要は“市指定有形文化財：中畑国東塔： この塔は、大正１０年頃村道改修時に発見された。塔下の田は中畑長者屋敷跡と伝えられ、長者の供養塔といわれている。現在破損している笠を修復すれば、総高４ｍ以上の堂々たる国東塔である。～途中省略～ 彫り出したとき、その中に一字一石がぎっしりつまっていたという。風化がひどく刻名等は判別できないが、特筆に値する。：杵築市教育委員会”などとなっている。
市指定の中畑国東塔
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笠があれば“総高４ｍ以上の堂々たる国東塔である。”とも表記されており、納得できるる国東塔です。 傍に寄ってみたいが、荒れた土手上となっており、回り込んで行く踏み跡もなかった。 塔下の田は、中畑長者屋敷跡と伝えられているらしいが、この田んぼ？ 振り向くと豊かな田圃と、その先には遠く「由布鶴見岳」だろうか？ 長者の気分も伝わってくる「中畑国東塔」でした。
塔下の田んぼ
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国道１０号線に戻り、さらに北上して行くと、「あっ、風車も見える！」 山香町のシンボル山「甲尾山」も見えはじめる。 やがて「下市北」交差点に到着し、ハンドルは左に切る。
県指定文化財のある
観音堂（小谷国東塔，薬師三尊像） （杵築市山香町大字内河野字小谷）
目的の「小谷観音堂」は左折し、幅広い市道に進み、日豊線の踏切を渡る。 その先、複雑な道順になるが、右左折しながら南西方向に進んでいく。 約１．２ｋｍ後、集落外れの雰囲気となりながら、右カーブ手前の斜面に「あっ、あれだ！」 それらしい「お堂」が見えてきた。
観音堂入口
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位置図（クリック拡大）
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駐車スペースもあり、「観音堂」の真下に到着。その上には大きな国東塔も見える。 「よっしゃ、上がってみよう」 斜面の参道は、かなりの急坂だがコンクリート舗装されており、一歩上がるごとに、「お堂」が迫ってくる。 期待が膨らみながら「ヨイショ」で登りつめると右側に大きな国東塔が立っていた。「お堂」の中も気になるが、先ずは手前の「小谷国東塔」から
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はじめは 県指定文化財
小谷国東塔 （杵築市山香町大字内河野字小谷）
観音堂の壁面にも国東塔の説明板がかかっているが、以前の物だろう。新しい説明板は国東塔の左脇に立っており、その概要は“県指定有形文化財：小谷国東塔： この国東塔は、もと大谷山最大寺に造立されていたが、廃絶したため昭和１５年に仏像とともに現在地に移した。総高２４５ｃｍで、総体に均整のとれた美しい姿をしている。塔身に「応安五大歳壬子伝々」と陰刻されていることから、南北朝時代の応安５年（1372）に造立されたものである。：杵築市教育委員会”などとなっている。
観音堂と小谷国東塔
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説明板（クリック拡大）
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県指定の小谷国東塔
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説明文に、総高２４５ｃｍなどと記されており、先ほどの「中畑国東塔」に比べたら、すこし小ぶりとなっているが、笠もあり均整のとれた美しい姿をしていた。塔身を見ると、「應安五大歳・壬子九月八日・・・」などと刻まれてる。
小谷国東塔
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塔身に陰刻あり（クリック拡大）
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説明文の文頭には“もと大谷山最大寺に造立されていたが、廃絶したため昭和１５年に仏像とともに現在地に移した。”などとなっており、それを示すように「移轉記念碑」が国東塔の右脇に置かれている。
観音堂に安置されている 県指定文化財の
最大寺木造薬師三尊像 （杵築市山香町大字内河野字小谷）
国東塔とともに移されたとされる仏像は、奥の観音堂に安置されており、説明板も立っていた。 その概要は“県指定有形文化財：最大寺木造薬師三尊像： 大谷山最大寺は養老２年（718）の開創といわれ、一時荒廃したが、その後大友氏の家臣吉弘統幸によって再建されたあと、災害によって廃絶になったと伝えられる六郷満山本山末寺として栄えた寺である。 この薬師如来坐像は、日光・月光菩薩立像の三尊一具の像で、いずれも榧の一木造りである。 １２世紀後半（藤原期）頃の造立とみられる。：杵築市教育委員会”などとなっている。
観音堂
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説明板（クリック拡大）
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「ん、鍵？」 正面の雨戸は施錠されており、「お堂」の中に入ることはできなかったが、貴重な文化財なので、防犯上やむを得ない事だろう。
左右の格子窓から中をみると、阿吽の仁王像２体と格子枠の付いた仏壇２面が配置されている。文化財の仏像は、中の仏壇に安置されており、暗くて見えにくいが、左端には、「薬師如来坐像」が安置されており、吽形と阿形に挟まれた中央の仏壇には「十一面観音菩薩立像」を中心に両脇侍も安置されていた。しかし、その脇侍のお姿は暗くて、よく判りませんでした。
左端の仏壇と吽形像（クリック拡大）
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中央の仏壇と阿形像（クリック拡大）
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小谷観音堂の境内には、県指定文化財の「小谷国東塔」と「最大寺木造薬師三尊像」が安置されており、判らない部分もあったが、ありがたく拝むことができました。 元の最大寺は養老２年（718）の開創といわれるが、移転前の最大寺はどのあたりに在ったのだろうか、訪ねてみたい気分でもある。しかし、訪れる人もなく荒れ果てていることでしょう。往時を偲びながら、観音堂の坂道を下っていった。
日本最古の石造沈み橋
土木遺産 龍頭橋 （杵築市山香町大字野原字龍頭・八坂川）
文化財の指定はないが、山香町の石造「龍頭橋」は、日本最古の沈み橋として土木遺産に認定されている。先の「小谷観音堂」から、それほど遠くない近隣地に所在しており、是非とも立ち寄ってみたい場所でもある。
小谷観音堂から少し戻り、山香庁舎の脇を南下しながら県道４２号線（山香院内線）を横断する。 幅広い市道をさらに約２００ｍ後、八坂川に架かる龍頭橋（新橋）を渡る。「ここだ！」 新橋の欄干から下を覗くと、「わっ、あれだ！」目的の「龍頭橋」が眼下に見えている。「旧道の橋まで行けそうだ」
新道の龍頭橋から覗くと
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位置図（クリック拡大）
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旧道の龍頭橋（クリック拡大）
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新橋を渡り終わった東側の袂に階段があり、川べりの冷たい風にあおられながら橋下の市道に降着。 歩きはじめると、すぐに旧龍頭橋の南端に到着し、「二文字架橋記念碑」と刻まれた大きな記念碑があり、その基礎部分には土木遺産の標識が、はめ込まれていた。土木遺産はそれとなく納得できるが、「二文字架橋」とは？ あたりに説明板などはなかった。
二文字架橋記念碑
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土木遺産の標識
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眼の前には日本最古といわれる石造沈み橋が架かっている。渡ってみよう。 左上に先ほどの「新橋」を見ながら、幅３ｍほどの「旧龍頭橋」を渡りはじめる。 「おっ、ポットホール？」 水面近くの橋を歩いており、岩の表面にできる甌穴が幾つも見られ、いかにも川べりの散歩道。下流側の景色もなぜか風情が感じられる。
旧道の龍頭橋を渡る
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上流側の甌穴群
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下流側の景色
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渡り終わったところに説明板が２枚あり、そのうちの一枚が「龍頭橋（日本最古の沈み橋）」となっていた。その概要は“龍頭橋（日本最古の沈み橋）： 別名・二文字の渡し。山香町大字野原の八坂川に架かる沈み橋で、大雨が降ったときは増水により沈んでしまう。平成１９年度、土木学会選奨土木遺産に認定され、現在では日本最古の石造沈み橋である。明治４５年（1912）完成。 龍頭橋は豊前と豊後を結ぶ街道にあり、ここに古い寺院があった。その仁王門の阿吽の二文字をとってこの名があるという。長さ５９．６ｍの沈み橋である。：世界農業遺産の里・杵築市”などとなっていた。 もう一枚は「水利調停記録碑」となっていたが転写省略。
土木遺産の説明板（クリック拡大）
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二文字井手碑
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水利碑
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対岸から見た龍頭橋（クリック拡大）
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説明板の冒頭に“別名、二文字の渡し”となっており、南端の「二文字架橋記念碑」に記されていた「二文字」の謎が解けた。 さらに、その語源は阿吽の二文字に由来していたとは、歴史の趣を感じます。 また、「水利権」の説明板や石碑などにも歴史の記録が残されており、どこにでもありそうな沈み橋だが、知れば知るほど、奥が深い、二文字架橋の「龍頭橋」でした。
今日は、小武寺近くの「中畑国東塔」を皮切りに、山香町の文化財を訪ね、県指定の「小谷国東塔」や「最大寺木造薬師三尊像」などを拝んできました。その近隣には、日本最古の沈み橋があるということで、古い「龍頭橋」を渡ってきたが、神社仏閣や石塔などと違い、広く開放的な雰囲気の中、歴史のなぞ解きをしながら渡ってきました。 春が待ち遠しいこの頃です。
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