中津市耶馬渓町　　　　　　　　　　　　　２０２５ 年１２ 月２日（火）晴れ 　紅葉と伝説の雲八幡宮 中津市耶馬渓町： ，雲八幡宮，雲石（元宮），宮園の常夜燈，耶鉄下郷駅跡　   　 　耶馬渓町の「雲八幡宮」境内にはモミジやイチョウがあり、秋には赤や黄色の紅葉が見られるという。　かなり遠いけど出かけてみると　「おっ、すごい、すごい！」境内は、今が見ごろの紅葉となっており、地面は黄色の絨毯に敷き詰められていた。 雲八幡社の紅葉（クリック拡大） 　今回は玖珠町から県道４３号線（玖珠山国線）で、風光明媚な「立羽田の景」などを越えていった。 立羽田の景（玖珠町古後） 名勝耶馬渓：立羽田の景 立羽田の景 立羽田の景（クリック拡大） 　県道４３号線は国道２１２号線に丁字で合わさり終点となった。　突き当りには「道の駅：やまくに」があり、手足を伸ばしてリフレッシュタイム。　目的の「雲八幡社」は耶馬渓町に所在しており、国道２１２号線を東に進む。 一つ戸の景（中津市耶馬渓町大字宮園） 　道の駅から約２㎞後、正面に「一つ戸城山」が大きく迫ってきた。過日の登山記憶を思い出しながら通り過ぎた、その先、振り返る位置に「一つ戸城山」の絶景が展開されていた。山國川の対岸には「一つ戸の景（頼山陽八景）」のビューポイントもあるらしい。 一つ戸の景（クリック拡大） 雲八幡宮（中津市耶馬渓町大字宮園） 　そして約１．５㎞後、前方に「雲八幡宮」の大きな看板が現れてきた。国道の左側に広い駐車場があり、「ふ～、やれやれ、やっぱり遠かった。」大分市の自宅から約９０ｋｍ。 雲八幡社入口 位置図（クリック拡大） 　扁額に「雲八幡宮」と刻まれた鳥居をくぐると、早速というように黄金色の大きなイチョウの木が見えてきた。期待が膨らむ。 神社入口 参道を行く 　神社らしく左右には狛犬が置かれているが、一歩奥には、なんと狛カッパが置かれていた。これも「阿吽」の形相となっており、カラス天狗を思わせる顔立ちでもある。　左が「吽形」で右手に持っているのはキュウリかな。右の狛カッパは「阿形」で、右手には軍配を持ち、左手を上に挙げていた。カッパ相撲の行司役かもしれない。おもしろい。 狛カッパ「吽形」 狛カッパ「阿形」 　続いて「特別保護樹林」の看板が置かれていた。調べてみると、県指定の特別保護樹林は大分県下で２１か所が指定されており、そのうちの一つとして「雲八幡社の森」となっている。今が見ごろの大イチョウもその中の一つだろう。　そして、趣のある太鼓橋を渡る。黄色いイチョウの落ち葉が雰囲気を添えていた。 特別保護樹林 特別保護樹林「雲八幡社の森」 参道の太鼓橋（クリック拡大） 　太鼓橋を渡った右側には「雲八幡宮千年杉」の展示舎があり、大きな杉の根っこを展示しているが、平成１６年の台風１８号で倒壊したご神木の「千年杉」の根。その横には、若い杉の木が立っており「千年杉のあと継ぎ」の添え書きも置かれていた。平成１５年、雲八幡宮１３００年祭のとき、穂差した一本が活着したとなっている。　また、展示舎と並んで「大分県指定無形文化財宮園楽」の記念碑も置かれていた。 雲八幡宮千年杉 「千年杉のあと継ぎ」と若杉 　太鼓橋のたもとでは、子供のカッパが相撲を取っていた。かわいい～　先ほどの狛カッパが行司をしていたが、まだ勝負はついていないよ。「残った、残った！」。　境内を流れる旭川沿いは紅葉がお見ごと！ カッパの相撲 境内の紅葉（クリック拡大） 大イチョウと落葉の絨毯（クリック拡大） 社殿へ 　大イチョウを左に見ながら石段を上ると、正面にはド～ンと雲八幡宮の社殿（拝殿）が祀られている。先ずは、お参りしておこう。 　振り向くと、先の大イチョウがあり、右わきには大杉が２本立っている。千年杉は世帯交代となったが、この大イチョウや大杉は、「雲八幡社の森」を成す主役たちだろう。それなりの存在感を魅せている。 大イチョウと手水舎 大杉と稲荷神社 雲八幡宮（拝殿） 　お参りしながら欄間を見ると、「御祭神御出現壱千参百年大祭」の書き物（板）があり、“境内旭川下流の雲石は神功皇后ゆかりの霊跡にして此処に大宝三年（703）夥しい雲の中から雲八幡大神が御出現になった。”などと記しており、このあと伺う予定の「雲石」のことに言及している。 　お参りしたあと、駐車場に戻る途中に大きな説明板があり、改めて目を通すと“「雲八幡宮とかっぱ祭り」：町指定無形民俗文化財「宮園楽」”の表題から始まっており、文頭は“雲八幡宮の沿革：境内を流れる旭川を数百メートル下った所に磐座がある。「雲石」と呼ばれ、大宝三年（703）、ここに神が出現し「雲の社」と尊んだ。天延元年（973）、少納言清原正高卿が現在地に社殿を造営したと言う。”などと沿革は続いている。 説明板（クリック拡大） 一つ戸城山や傘山 　表題の「かっぱ祭り」は、説明文の後半に記されており、“雲八幡宮のおんばらい大祭に地元氏子によって登場する民族芸能「宮園楽」が奉納される。　源氏の追手に討たれた平家の落人の妄念がカッパになって・・・”などと、写真入りで解説していた。おもしろい。 　読み終わって駐車地に戻ると見渡す景観に、説明板の「一つ戸城山」や過日に登った「傘山」などが小春日和の青空に映えていた。 「雲八幡宮」の元宮とも言われる「雲石」にも是非、寄ってみよう。で、雲八幡社の駐車地からすぐのところにＹ字路があり、左折して「日田往還中津街道」に進む。 宮園の常夜燈（中津市耶馬渓町大字宮園） 　約３００m後「宮園公民館」があり、直後の三差路に到着。と、そこに大きな常夜燈が建っていた。「宮園の常夜燈」と呼ばれ、足元には「日田往還中津街道」の標柱も置かれている。 宮園の常夜燈 日田往還中津街道 雲石（元宮）（中津市耶馬渓町大字宮園） 　変則三差路に「八幡神御出現の地・雲の社（雲石様）」直進２０ｍの案内標識があり、狭い里道に進む。 変則三差路 位置図（クリック拡大） 雲石へ ２番目の案内板 　ゆるやかに左カーブすると２枚目の案内板が現れ、「すぐそこ」となっていた。カーブで見えなかったが、直後の左側に赤い鳥居の「雲石」に到着。 　由来盤の概要は“雲八幡宮記によれば、神功皇后が三韓征伐より帰国された際この里に立ち寄られ、この巨石の上にしばし御休息されたと伝えられている。その後、この石の辺りより白雲が立ち昇り、鳥がとまれば死ぬなどの奇瑞が有りその不思議を恐れていた。大宝３年（703）白雲ことさら激しく立ち昇り、突如唐笠山の頂から稲妻のごとき光が現れて、童子の御姿が雲上に立たれた。これを見た村人たちは、この巨石を雲石として崇め、これを祀ったことに始まるとされる。”などと刻まれている。この中に出てくる「唐笠山」とは、今の「傘山」ではないだろうか、当地より北西1ｋｍほどの位置にある三角形の山。 雲石 雲石の由来（クリック拡大） 　由来盤の後半は“時下って天延元年（973）正三位清原正高朝臣、当村に配流になり、このことを聞いて大いに驚き、現在の旭川ほとりを社地と定め、雲八幡宮発祥の地となった。”などとなっているが、ここに出てくる「清原正高公」の話は、玖珠町の「三日月の滝」にも伝説的に残されており、遠くに繋がる伝説の関連に驚き、感動を覚えます。 雲石（元宮）（クリック拡大） 　路傍に所在する一つの巨石だが、神功皇后から始まる伝説は「雲石」と崇め、その後、「雲八幡宮」へとつながっている。思えば、「むか～し、昔」の、不思議なお話でした。 耶鉄・下郷駅跡（中津市耶馬渓町大字宮園） 　「雲八幡宮」との関りは全くないが、すぐ近くにあり、鉄道の歴史とそのロマンに誘われながら、旧耶馬渓鉄道の「下郷駅跡」を訪ねてみることにした。 　「宮園の常夜燈」から「日田往還中津街道」をさらに北に進み、約３５０ｍ後のト字分岐は左に進む。「耶馬渓四国霊場」の案内板があるが、道はすぐに行止まりとなり、耶馬渓鉄道跡地の「メイプル耶馬サイクリングロード」となっている。 　そこに「下郷駅跡」があり、旧駅舎と駅名表示板が残されていた。鉄道敷のサイクリングロードから、ゆっくりと眺めました。わざわざの寄り道となったが　鉄道ファンとしては歴史とロマンを感じます。 下郷駅跡（クリック拡大） 「しもごう」駅 　今回も、紅葉情報をもとに耶馬渓の「雲八幡宮」を訪ねてきたが、元宮とも言われる「雲石」にもお参りし、その歴史的な伝説など、深い繋がりを思い起こされました。ついでに、風光明媚な「立羽田の景」や「一つ戸の景」また、旧耶馬渓鉄道の「下郷駅跡」など、遠い道のりとなったが、小春日和のドライブとなったようです。